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冷たい情愛
【女性向け 官能小説】

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冷たい情愛9 過去-13

「え…?」



山本先生は、私と神崎の関係を知っていたのだ。


教師とはいっても20代前半の若い男同士。
恋愛の話もしたのだろう。

私は12年たった今、初めて真実を知った。


父親は彼が高校時代に病んで臥せてしまった。

三人の子どもを抱え、母親は必死に働いた。
しかし彼らを大学にやるなど、到底無理な経済状況だった。


佐々木は当時から相当優秀だったらしく、高校の担任は、大学進学できない
彼の家庭事情を嘆いたらしい。

そんな中…

彼に、学資と上京するための援助をしようと申し出る男がいた。
娘が神崎と同級という事もあり、彼の親に親切に申し出たのだ。



本当は、その男が「あわよくば、将来娘婿として自分の後を継がせる」と考えたらしい。

その話がきっかけとなり、神崎とその娘は付き合い始めた。

彼は、その大人の企みに気づいてはいたが…
金さえあれば…母親も楽になり…自分も大学に進学できる…
と簡単に考えたのかもしれない。

女の父親も、娘を都内の女子大に進学させて…
変な男とくっつかれるより、有望株に唾をつけておけば…と考えた。
地元で貧しく暮らしていくしかない彼の両親を、人質にしているようなものであったし…。


神崎ははもしかしたら…
金を返せば、その時、その娘は捨ててもかまわない…
そう考えたのかもしれない。

しかし、私には少しだけ分かる。


金を返したからといって、その男の娘を捨てようがものなら…
彼の両親はその村で暮らしていけない…


閉鎖的な土地柄では、致命的な行為だろう。


そして…彼は都心の大学へ。
男の娘は、女子大へ進学した。

男の娘は…彼が他の女に行かぬよう、常に監視している女だったそうだ。
彼は面倒には感じたが、金の心配をせずに勉学できる環境に、それなりに満足していた。


そして彼は、教師になった。
本当は一年間という約束だったらしい。


しかし…

私に言ったとおり彼は、私が卒業する三年間、教師でい続けた。


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