Authorization Lover-VOLUME3--5
部屋には修平と桃子だけになった。
気まずい沈黙。思い出したように修平が切り出す。
「あぁ、そういえば桃。昨日お前あてに伝言預かったんだよ」
「何ですか?」
「電話番号は変わってない」
「はぁ?」
怪訝そうな顔をした。修平はククッと笑って桃子を見た。
「谷川史朗からだ。お前も罪な女だなぁ。」
桃子の顔にサッと赤味がさす。
「吉川に、エリート君ねぇ。中々モテルじゃないの?」
修平はニヤニや笑っている。桃子はジッと何かを考えているようだ。
「佐々木さん伝言の事誰かに言いました?」
「いいや?」
「しろちゃ…谷川さんの事は他言しないで下さい。…迷惑かかっちゃうから。」
「嫌だって言ったら?」
修平は腰を曲げて桃子の顔を覗きこんだ。完全にからかい口調である。
「そしたら…絶交します。」
「はぁ?」
聞き直したが、桃子は真剣な顔をしている。
「誰かに言ったりしたらもう佐々木さんとは口きかないし、ご飯も一緒に食べませんからね!」
修平はポカンとして桃子を見てから、いきなり大笑いしだした。
「な、何で笑うんですか?こっちは真剣なのに」
桃子は悲壮めいた顔で修平を見た。修平は涙を指で拭いながら腹を抱えている。
「…ぜっ、絶交って小学生かよ。ハハッ!」
「え。」
「しかも口きかないとかメシとか…低レベルな…」
修平は堪え切れずに腹を抱えて笑出した。
数分してやっと治まり、手を挙げて話しだした。