結界対者 第四章-22
「春日…… さん?」
「今朝ね、私、失敗しちゃったの。丸一日かけて、色々準備したのに、教室の一ヶ所に術をかけそこねちゃって」
「……?」
「私はね、何でも完璧じゃなきゃ嫌なの。失敗は嫌い、その結果が残るのも嫌! だから、うふふ、燃やしちゃった」
「なんだと……?」
「それと…… 今だから正直に言っちゃうけどね、柊君が教室に来ると、ちょっぴり嬉しかったんだ。 だから……」
「……?」
「あなたは、私が直接、殺してあげる」
胸元で囁かれた言葉、それと同時に腹に、俺の腹に激痛が走る。
「大丈夫、終ったら柊君は、お母さんのお墓の中に『飛ばして』あげる。優しいのよ、わたし」
見下ろすと、春日ミノリの手首が腹に、まるでナイフの様に突き刺さっていた。
こ、こんな事……
床一面に血が、春日ミノリの腕をつたい、流れ落ちた血が広がって行く。
腹が…… 熱い……
目の前が暗くなる、闇が……
闇に、墜ちていく……
間宮……
続く