結界対者 第四章-20
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-――こいつは、セリの身近で、日頃のセリの行動を良く知る人間にしか出来ない芸当だが、何かカモフラージュの様な術を段階的に使用したと思われる―-
樋山の言葉を頭に浮かべながら、俺は間宮の教室へと、全力で走る。
既に、校舎の中には誰も居なかった。
とにかく手掛りを!
樋山は、ジルベルトの仕業である様な事を言っていた。
だとしたら、奴らが間宮を連れ去った理由は何だ?
海に行った、あの日の夜も、奴らは店に来ていた。
そして、間宮は、それは自分に対しての事の様な気がすると……
畜生、一体、間宮がなんだってんだ!
辿り着いた教室はモヌケの空で、俺は片っ端から机を調べると、その中から間宮の鞄が脇に吊してある物を見付けた。
見付けたところで、手掛りなんて……
大体、間宮の身近で、日頃の間宮の行動を良く知る誰かって……
春日さん、か?
バカな! そんな筈が無い、それ以外にも誰か居る筈だ!
日常的に、間宮に接触している誰かがっ!
慌てて机の中を、そして鞄の中身を探る。
テキスト、ノート、ペンケース、雑誌、携帯……
携帯!
そうだ、携帯!
夢中でそれを開く、そして着信履歴を呼び出す。
ディスプレイには、俺の名前、そして「お姉ちゃん」の表示が繰り返し、数日前まで続いている。
これだけ、か?
次に受信メールを。
しかし、そこには、着信履歴とは違う、別の表示が列を成していた。ただ一種類、おそらくただ一人の、間宮の友達の名前。
春日ミノリ!
>4月26日19:31 春日ミノリ
>明日、抜き打ちテストがあるみたいだよ、憂鬱だね、、、
>4月27日20:32 春日ミノリ
>連休はどうするの?
もしかしたら、柊君とデートとか?
羨ましいなぁ(*^m^*) ムフッ
そういえば、好きな人と上総町の海岸に行くと、願い事が叶うって噂、知ってる?
最近、流行ってるみたいだよv