むらさきの花。-5
彼女が私の前で涙を見せなくなってから、少したって、
彼女の留学が決まった。
帰ってくるのは半年後。
長くて一年。
それを私たちに告白したその日、
彼女は久々に泣いた。
私たち四人の前で。
それが、私が最後に見た彼女の本心だったと、今になって思う。
彼女が旅立って、三ヶ月後。
私は彼に告白された。
私も彼に、すべてを告白した。
彼はすべて、受け入れてくれた。
こんな汚い私を。
彼女が帰国したその日に、彼女にすべてのことを打ち明けた。
その時も彼女は、「そっか」と言って微笑んでいたっけ。
大声を上げて、泣き叫んでくれたらよかった。
私を、裏切り者、と罵ってくれたらよかったのに。
でも彼女は、優しく微笑んで、
「辛い思いをさせてごめんね。」
と言った。
「これからも、四人で一緒にいようね」
と。
いまさら、「後悔してる」なんて言いたくない。
そうなってしまったのは、仕方がないと、そう思うのだけれど。
それでも。
私は今でも彼女のあの微笑みが、忘れられない。