Authorization Lover-VOLUME1--7
「あの…良かったんですか?」
桃子は心配そうに尋ねる。雛菊はちらりと彼女を見て笑った。
「心配ないわよ〜いつもの事だし♪」
「いつもあるんですか?!」
桃子は此処でやってくの余計心配になってきていた。
「そういえば…何で食堂に専務が現れたら皆さん騒いでたんですか?」
雛菊は足を止めた。後ろを振り返って桃子をちらりと見る。
「あの長身グループは滅多に会社にいないくらい忙しいのよ。──三高四天王って言われてるわ。」
「四天王って…」
「京本専務もその中に入ってるのよ。」
雛菊はこの話はもうおしまいと言うようにまたスタスタと歩きだした。
「えっと…守川煙草吸わないわよね。喫煙所なんて教えなくていいか。」
「あの…そういえばあの時いた細身の長身でお若い方も四天王に入ってるんですか?」
桃子はかねてから気になっていた事を尋ねた。雛菊の体が硬直した。
「…どうして?」
「いえ、此方をじっと見てらしたんで気になっただけです。…聞いちゃ不味い事でしたか?」
雛菊はにっこり笑って首を振った。心なしか張り付いた笑顔に見える。
「アイツは市井銀っていって、榊商事きってのエリートさんよ。…守川の事気になったんじゃないかしら?アタックしてみたら?」
「えっ!嫌です!…私を見ていたと言うより、私達の方を見てた感じでした。」
桃子は慌てて顔を振ってから思案気に言った。
雛菊は胸が痛んだ。
「さぁってね〜あたしたちが煩かったから睨んだのかもだし。」
雛菊は明るく言った。
そんな訳無い。
私を拒んだのはアンタ。
今更何なのよ。
私の心を掻き乱さないで。
銀……
雛菊の心に嵐が吹き荒れた。
第二話に続く