Authorization Lover-VOLUME1--6
騒ぎの方を見ると数人の長身の男性社員が元のようだ。遠巻きに皆こそこそ話しながらそちらを見ていた。その中でも一際大きい髭面の男がこっちを見て嬉しそうに手を振った。
「七緒ちゅわぁん!」
「げっ!」
言われた七緒は嫌そうな顔をして下を向いた。
「げっ、は酷いんじゃない七緒…」
雛菊は七緒をいさめた。桃子は目を瞬きした。
そうこうしている内にその男は此方へ向かってきた。先程までその男の隣にいた細身の優男が此方を見つめているのに桃子は気付いた。
「七緒ちゃん食堂で会うなんて珍しいね。…ん、このコは…」
その男は雛菊の隣にいる桃子に目を留めた。
「あ、紹介しますね。守川さん、さっき少し話した京本専務です。京本専務、此方噂の守川さんですよ。」
「はっ初めまして!」
桃子は急いで立ち上がって頭を下げた。
「あぁ、君が守川君か。よろしく」
桃子の手を握って微笑んだ。
「っていうか京本専務自分で話広めといて守川の顔知らなかったんですか?」
雛菊は呆れ気味に京本を見た。
京本は頭をぽりぽり掻いて苦笑いした。
「いや、面目無い。経歴を拝見してこの経験があれば企画に持ってこいだろうな〜と。」
「いつから京本専務は人事権を持つようになられたんですか?」
優希は京本専務を冷然とした顔で見つめた。
「こっ、小林君睨まないでくれよ。別に玲を無視して企画にしてもらった訳じゃなくて…」
京本は冷や汗を出しながら優希に弁解した。
「へ〜。花田玲人事部長を玲って名前で呼ぶ仲なんですか。」
七緒は冷めく吐き捨てるように言った。
「ちょ、七緒ちゃん!」
飛び火が移る。雛菊は此方にまで来たら大変だと席を立ち、「守川に会社案内してくるわ」と言って桃子を連れて場を離れた。