Authorization Lover-VOLUME1--2
お昼なると桃子のプチ歓迎会も兼ねて企画部の数人で社員食堂へ行く事になった。
食堂に向かう途中、桃子の財布から何か落ちるのを雛菊は見た。
「あんらま〜コレ誰?」
「えっ?」
桃子が返事をする前に雛菊は写真をしげしげと見つめていた。
写っている人物はは一昔に一世を風靡したヨン様を思わせるような眼鏡の似合う男性で、零れ落ちるような笑顔をこちらにむけていた。
「あっ!駄目です!」
桃子は慌てて引ったくろうとしたが、雛菊は七緒達に写真をパスした。
「守川さんヨン様好きなんですか?」
同じ課の小林優希が桃子を写真と見比べながら言った。
長身短髪のボーイッシュな外見とは真逆である、優希のおっとり天然ぷりを如何無く発揮した。
「意外だわ。」
七緒は言葉と裏腹に妙に納得した顔をした。
「ちっ、違いますよ!ヨン様じゃなくて染岸さんですっ!」
桃子はハッと我にかえった。余計な事を喋ったのに気付いたらしい。
「染岸って?」
優希が興味津々に尋ねる。七緒は腕を組んで考えたポーズをとった。
「あぁ、もしかして金原商事の?」
桃子は顔を真っ赤にして七緒を見た。
「ご存じなんですか…?」
「ええ。前に向こうの社報で若きリーダー達っていうのに染岸さん載ってたわよ。」
「ね、誰?教えてよ」
二人で会話していて流れが掴めない雛菊は、堪らず二人の間に割り込んだ。
七緒と桃子は顔を見合わせた。
「ま、とりあえず食堂行きましょ。そこで話しましょうか。いい?」
七緒はチラリと桃子を見た。桃子は観念したように頷いた。