キャンディーガール-2
「よかったぁ〜♪」
両手の指を口に当て、嬉しさを表現。
「は・・・・」
痛い。痛すぎる。
「はは・・・」
失敗だな。
早まったな。
せめて友達から始めれば。
「はははは・・・・」
後悔しつつ、俺はただカラ笑いを続けた。
そしてデートはスタート。
駅を出て、信号を渡り、ひたすら歩く。
「何処にぃくんですか?」
「ゆっくり話せる所」
とにかく、静かな場所。人のいないところを目指した。
周りの好奇な眼差しと失笑。陰口がない場所へ、俺は急ぐ。
気にならないのか彼女は平然としていた。
服装とは正反対のこの堂々ぶり。
男らしい。
拍手を送ろう。
パチパチパチ―・・・俺は心の中で、彼女に絶賛の拍手を送った。
しばらくすると、人気の少ない路地に、喫茶店を発見。
「ここにしよう」
失礼ながらも繁盛してなさそうなここに、俺は決めた。
「入ろう」
「でも・・・」
「いいから」
躊躇した彼女を無理やり押し込む。
奥に座り、ようやくホッ。これで一安心。人目も気にならない。
俺は安堵のため息。
・・・・・を漏らして落ち着いたのは、ほんの僅かな時間だけ。
またしても失敗。
早まった。
不満気な様子で口をつぐむ彼女に、気まずさから触れた服の話題。
考えが甘かった。
こんなにも饒舌(じょうぜつ)になるとは。熱弁をふるわれるとは想定外だ。
「知ってます?ロリィタにも色々あること」
「いや・・・」
「ゴスロリと甘ロリ。一緒に考える人がぃるけど、一緒じゃないんですょ」
「そう・・・」
「だいたいロリィタをコスプレなんてぃうヒト、信じられません!」
「うん・・・」
「これはコスプレじゃなくて、ファッションなんですぅ!」
「へぇ・・・」
適当に相づちを打つも、限界は近かった。
無理に笑顔を作る頬が痛くてたまらない。
どうしようか悩んだ。するとタイミングよく携帯が光を発し、同時にメロディーが響く。
キスをしたくなるほどの嬉しさが込み上げた。
ディスプレイに表示された名前は、親友の敦志。
「ごめん。ちょっと電話してくるね」
慌てて立ち上がり、俺は喫茶店の外へ。