ICHIZU…Last-20
「それをもう一度やる。今度は無期限でだ。どうだ?」
佳代は2人の動作に、どうリアクションを取って良いのか分からず困った顔をしていると、榊は退部届けの封筒を佳代に手渡しながら、
「オマエも一度辞めたのを反古にして帰って来ると言っているんだ。それなりのペナルティは受けるべきと思うが?」
佳代はみるみる表情を変えた。その顔は榊が彼女を初めて見た時の、負けん気の強そうなそれだった。
「監督!もう一度お願いします!」
榊はニヤリッと笑うと
「遅れた一週間、キツイぞ!」
榊の言葉に佳代は屈託の無い笑顔で答える。
「ハイッ!」
彼女にとって、再び熱い夏が訪れようとしていた……
…「ICHIZU 完」…