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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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ICHIZU…Last-14

ー昼過ぎー

練習を終えて、父母達が子供達をクルマに乗せて帰って行く。
藤野と佳代はそれを見送っている。
時折、子供達からかけられる声に、佳代は目を細めて手を振っていた。

「オレ、先に帰るから……」

ぶっきらぼうな口調で修は佳代にそう言うと、自転車に乗ってさっさと帰ってしまった。

「じゃあコーチ、私も……」

佳代は藤野に向かってそう言おうとすると、藤野は言葉を遮って、

「もうちょっと付き合え。腹減っただろう。ラーメンでも食べに行こう」

「はぁ…」

藤野は佳代をクルマの助手席に乗せると、小学校のグランドを後にした。




自宅に帰った修は、リビングのエアコンを入れるとキッチンへ行き、麦茶を飲もうと冷蔵庫を開けた。

「アレッ?」

朝まで入っていた昨日のオカズの残りが無い。

(姉ちゃんが喰ったのか……)

修は麦茶を飲みながら流しを見た。使われた食器がそのまま置いてある。

「仕方ねぇな!姉ちゃんは」

修は麦茶を一気に飲み干すと、流しの食器を洗い出した。
その顔には笑みがこぼれていた。

食器を洗った修は、レトルト・カレーをご飯にかけて、リビングで食べていた。
その時だ。電話が鳴った。修は受話器を取る。

「もしもし、澤田です」

「修か?オレだよ」

電話の声は直也だった。

「まだ佳代は居るのか?」

直也の問いかけに、修は即座に答えた。

「ううん、さっきジュニアの練習に来てたよ…」

「ジュニアの練習に?」

直也の声が1オクターブ上がった。

「うん、その後、別れたから何処にいるか分かんないよ。夕方には帰ってくるんじゃない?」

「夕方だな。分かった!その頃にオマエん家に行くから」

「無駄だと思うけど……」

修の言葉に直也は自信あり気に答えた。

「心配すんな!今度は助っ人を連れて行くから」

それだけ言うと、直也は電話を切ってしまった。
修は切れた受話器をしばらく眺めていたが、やがて元に戻すと再びカレーを食べ始めた。


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