きみのとなりへI-3
「うん、その時、一平くんがさ〜………。」
「…?一平くんがどうしたと?」
「………………薫ちゃん…。」
「ん?」
「…最近…一平くんのことばっかり考えよう。」
「…うん。」
「……………元気かいな。」
「…元気だと思うよ。」
「うん。」
「……。」
「さぁ〜ゆっ!」
「んぇっ?」
「今日は飲みながらいっぱい語ろ!」
「えっ?」
「この後の、練習後の飲み〜!来るやろ?」
「ん、…ん〜。」
「いいやん!たまにはパアッとね!」
「…そうやね!パアッとやろっかね!」
「よしよし!」
そう言うと、薫ちゃんはスッと立ち上がってコートの方へ向かっていった。
あんまり心配かけないようにしなくちゃなぁ…。
私も重い腰を上げて、コートへ向かった。
ーーー練習後の飲み会
飲み会に着いてすぐ、薫ちゃんの携帯が鳴った。
薫ちゃんは「ごめん。」と言って、小走りで外へ出て行った。あの調子だと彼氏かな。
仲良しの友達がいないわけではないけれど、今日は薫ちゃんとウダウダ飲みたかったから、端の方の席に座った。
ポーッと携帯をいじってると、
「沙癒、なんか飲まんとや。」
顔を上げると大地さんがいた。
「ビールでよかろ?」
「あ、はい。いただきます。」
コップに注いでもらったビールに口をつける。ビールは苦いから少し苦手だ。
「Cloverの曲、俺結構好きっちゃんね。」
「あ、そうなんですか!」
「地元にいる時から知っとったら、絶対ライブ行ったとにな〜。沙癒は結構行きよった?」
「週に1回くらい。」
「いーなー!…最初出たときはあんま好かんくてさ、なんか顔ばっかいい奴らだと思ってさ。やけど、妹が見よった歌番組で歌聞いてビビった!めっちゃ好みやった!」
「私もめっちゃ好きなんですよ、特に歌詞が!」
「あ〜!歌詞がえらいいいよね!」
なんか、大地さんと話してたら、会えないで寂しがってる自分がちっぽけな気がしてきた。
私も、寂しがってないで応援しなくちゃ!