きみのとなりへI-2
バイト中も、一平くんと似た人が来るとドキドキしてしまったり。
帰り道、彼と見た飛行機雲を思い出してちょっと涙が出そうになったり。
テレビで慣れないトークを一生懸命してるのを見て、声を聞いて、心臓がギュッとなったり。
こんなに相手を思う恋は初めてで、苦しくて胸が痛くて。
そんな毎日だった。
「沙癒、大丈夫?」
「ん?」
「なんか最近、ボーっとしちゃって。」
「大丈夫だよ〜!サークル行こっか!」
「…無理はしちゃだめよ?」
「!……ありがとう、薫ちゃん。」
私と薫ちゃんが入っているバレーボールのサークルは、週に3回活動日があって、メンバーは50人以上、実際よく来るメンバーは20人くらいだけど、まぁそれなりに活気のあるサークルだった。
薫ちゃんとアップをしていると、大地さんが近付いてきた。
「俺の勘違いかもしれんっちゃけどさ…」
「はい?」
「沙癒がちょっと前に一緒に歩いてた奴って、最近出だしたClover(一平くん達のグループ名)の一平って奴じゃない?」
「え゛…。」
そう言えば、一平くんと帰ってる時に大地さんに会ったなぁ…。
「やっぱりそうだったんだ〜!」
「えっ!あっ…いや…。」
「あ、大丈夫!みんなに言ったりせんし。いや〜、どっかで見た顔だってずっと考えててさ!すっきりした!」
それだけ言うと、大地さんは私の頭を軽くポンポンっと叩いて戻っていった。
「大地さんに、一平くんといるとこ見られとったったいね〜。」
横で聞いていた薫ちゃんは、あちゃーという顔をして言った。