無遅刻の理由-1
「いつものことなんだけど、
黄門さまがインロウだすとほっとするよな」
「さようですな」
「なんかたまにはいいな、こうだらだらしてるのも」
「あーしかし明日からは学校でございますよ、おまえさん」
「そうだね。
…お嬢さん、そろそろ時代劇の世界からかえっといで」
「へい」
「へいへい。
それにしても明日か、もう授業の履修きめた?」
「ほとんど前期とかえないつもり」
「じゃ、お互いまた朝からが多いのか」
「そうだね」
「な、そういえばさ。
お前今年になってからあんま遅刻しなくなったよな?」
「そうかも」
「いい加減、単位が危ないからか?」
「ううん。
別に出なくてもとれるし」
「むかつくわー」
「ふふん」
「………」
「…いや、あのさ。うちら春から付き合いはじめたじゃん」
「…俺に真面目なとこみせたかったからきちんと起きてたとか?」
「…まさか。そんな今さら」
「…だよな」
「…あーあのね。朝ね、一緒に行くでしょ?」
「ん?」
「待ち合わせしていくでしょ。
他の人なら遅刻しても気にしないんだけど、
せっかく一緒にいけるのにって思うと起きれちゃうの。
毎朝なのに楽しみなの」
「………」
「あーもうなんでもない。
なんでもないよ、ばか」
「お前、可愛いな」
「ばか」
「好きだよ」
「…ばか」
「じゃ、明日も一緒行こうな」
「…うん」