SLOW START W-4
「まだ飲むんすか〜?」
「お前がキモい話するから酔いが冷めたんですけど。責任とって飲むんだよ」
先輩は運転手に自分の住所を告げ、背もたれに身体を預けた。
その時にはいつもの先輩に戻っていた。
先輩の家で飲むのは初めてではなかった。よく飲み足りないときなど終電を逃した時は先輩の家で野球の試合自慢を聞きながら朝まで飲んでいた。
…さっきのは飲み直したかったのか?まぁいいや。また自分の野球自慢するのかな…
あたしは了解をし前を向く、酔ってたのだろう。先輩の家に着く頃には瞼が重くなり始めていた。
15分程で小綺麗なマンションに着きオートロックを解除した。306のプレートが先輩の部屋だ。
靴を脱ぎあがる。ワンルームの部屋には野球グッズ、漫画などが置いてあり先輩はネクタイを外すと座椅子に腰掛けた。
あたしは四角いテーブルを挟んで座る。これがいつもの定位置だからだ。
缶ビールを2本空けた頃、先輩は録画したお笑い番組を見ながら爆笑していた。
あたしは携帯をいじりユウキ君からのメールが着ていないか確認したが来る気配はない。
会話がないので次第に眠くなっていきちょっと横になった。
油断しきっていた。
先輩はあたしの事を女として見ていないだろうし、ユウキ君からもメールは来なかった。
どれだけ時間が経っただろう。部屋が静かなのに気付く。気付きはするが起きる気力はない。
先輩は何か言ってからあたしの方に近寄ってくる。
「…お前全然警戒しないよな。ここまで行くと傷つくぞ…」
あたしは何事かとうっすら目を開けた。
先輩の手があたしの髪を撫で掻き上げる。
「どうかしたんで…」
言いかけたあたしは言葉を失う。
先輩の唇があたしの唇に重なった。
…何これ??チュウしてる?!あたしと…先輩がぁ!
びっくりし過ぎてバッチリ目を開けていたあたしに先輩は言い放った。
「本当に何とも想ってないと思った?いつ気付くか期待してたけど無駄みてぇだから悪いけど最終手段…俺、お前の事かなり好きだから」
「え…だって先輩っ!」
ニ度目のキスは言葉どころか思考能力まで奪う深いキスだった。
舌をねじ込まれ上あごを撫でられる。先輩のタバコと酒の味が広がった。
初めての体験にあたしは戸惑うばかりで何も出来ず目を閉じもしなかった。
抵抗しないあたしを見て先輩は手を首筋に這わせる。
ゾクッ
首を触られただけなのによだつような快感。
キスは続いたまま先輩の手は首から、まだ他人に触られた事のない膨らみに移された。
「んっあ」
思わず声が漏れる。先輩の指は、服で見えないはずの乳首をブラなど気にする事なく探り当てこね始める。
他人の手によってゆっくりと進む初めての愛撫にただ為すがままだ。