冷たい情愛5-1
先生…先生…
どこに行ったの?
どうして…
どうして…
いなくなったの?
・・・・・・・・・
目が覚めた。
(またあんな夢…)
天井を見ると、明らかに私の家ではない。
そうだ…遠藤さんの部屋に泊まり…私はとんでもない事をしてしまったのだ…
急に現実に戻る心。
部屋を見渡すと、彼はいない。
シャワーでも浴びているのだろうか…。
私は裸のまま、清潔なリネンに包まれたベッドの中にいた。
ドアの開く音。
彼が、濡れた髪をタオルで拭きながら部屋に入ってきた。
「あ…」
私は、彼になんと声をかけていいのか分からない。
「おはようございます」
メガネをはずし、クチャクチャの髪をしている彼は…
スーツ姿と違い、まだまだ「若い男の子」といった感じだ。
私はそんな彼に見とれて、胸が露になっているのも気づかず
「おはよう…ございます」と、同じ言葉を返した。
「設楽さん…形のいい胸ですね」
私は自分の胸が露になってることに、彼の言葉で始めて気付き…
あまりの恥ずかしさに顔がカッと熱くなった。
「え…えっとですねえ…昨日は…」
私は自分が何を言いたいのかすら分からない。
「設楽さん…寝衣と下着は置いていってください」
(え…どういう意味なんだろ)私は彼の真意が分からずにいた。
「洗濯は私がしておきます。また泊まりに来た時、荷物を持ってこなくて済むでしょう」
また…?
確かに今、彼は「また」と言った。
私が、また泊まりに来ることを望んでいるのだろうか。
「仕事に遅れます。シャワーを浴びてきて下さい」
でも彼は…
相変わらず、冷たいなんの感情もない目で私を見ながらそう言った。
・・・・・・・・・・・・