冷たい情愛5-2
昨日と同じスーツに、中のシャツだけ変えた格好で…私は新宿へと向かう。
シャワーの時始めて気づいたのだが…
私の胸、腹部には…赤い印が残っていた。
あの行為の最中、彼は私の体にそんなものをつけていただろうか?
そういえば…まただ…
またあの人の夢を見た…
まだ、私はあの人の事が好きなんだろうか…
だとすれば、遠藤さんへの感情は、絶対に恋愛ではない。
金曜日の朝…
明日は休日出勤したくないので、絶対に仕事をこなすと決めてパソコンを立ち上げる。
パソコンを立ち上げると、最初にスケジュール表が画面に現れる。
今日の予定を確認する。
私は、自分の間抜けさに呆れてしまった。
なんと今日は…
遠藤さんとの打ち合わせではないか…
…今朝、彼は何も言ってはいなかった。
まさか私ではあるまいし…彼が忘れている訳がないだろう。
昨夜のあんな行為の翌日…
しかも今朝まで一緒に過ごした彼と、また午後顔を合わせるのか…
私は、自分の心がぐったりするような気がした。
「おい…おいっ!」
はっとして、パソコンの画面から視線を上げると…そこには、片山が憮然と立っていた。
「お…おはようございます」
「おい、ちょっと顔貸せ、顔!」
片山の怒った声に、周りの若い女の子たちも一斉におしゃべりを辞めた。
片山が声を荒げるなど、始めてだからだ。
私たちはデスクを離れ…
上階の小さなミーティングルームへ向かった。
階段を上がる時も、一言も片山はしゃべらない。
私は、仕事上のミスかと、原因を必死に考えたが…
思い当たる案件は皆無だった。
ミーティングルームに入るとすぐ、彼は部に内線をかけた。