MORE【1-後】〜変化〜-3
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恐かった。
口に出してしまうともう一度あの感覚が
よみがえってくるようで…。
最後の方には,自分が何を話しているのか分かっていたのかさえ不確かだった。
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『あのさあ…』
「…はっはい!!」
うつむいていたのに急に話しかけられて
声が裏返った。
『行くとこあるの?』
「………」
そうだ,これからあたしどうしよう…
親戚なんていう人達は,アタシ達親子にはいなかった。だから今まで苦労してきたわけなんだけど…
しばらく無言が続いた…
先に沈黙を破ったのは侑登だった。
『ならさ…このままうちにいる?』
「いっいや…それは…」
何となくそう言われる気がしていたので
…とりあえず断る。
人の人生まで巻き込むのは気が引ける。ホントはそうしたい気持ちでいっぱいなんだけど…
『その様子じゃ行くとこないんじゃないの?』
…梶間さん
どうしてそこまでしてくれるのか正直わからない。
アタシ漫画に出てくるようなみ美少女でもないし…
…でも…
「梶間さん…ホントにお世話になってもいいんですか?
あのっ彼女さんとか…いろいろ…」
『いいよ…てかほら,俺今彼女なんていないし?』
口角を少しだけ上げて意味深に笑う。
それが彼のくせなんだと思った。
「……じゃぁこれからお世話になります。」
深々と頭をさげる。
『はいはい,ならまず「梶間さん」って呼ぶの禁止ね。侑登でいいから』
「なら…侑登さんで」
『よろしい♪』
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問題は山のようにあっても,とりあえず,蛍那は幸せを感じることができた…
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