MORE【1-後】〜変化〜-2
『今更…。まぁその辺の服着てこっちこいよ』
…ガチャッ
行っちゃった…
てか結局だれなんだろ。
とりあえず,お腹減ったから行かなきゃ…
短パン(アタシには膝下になっちゃうんだけど)を下にはいて男の出て行った方へと行く。
〜ふわっ
「…ぁ…良いにおい」
『まあ座れよ。コーヒー大丈夫?』
キッチンから顔だけのぞかせてくる。
「ぅん…」
うなずき終わる前にまた顔が引っ込む。
一人暮らしにはでかすぎるテーブルを目の前に呆然と立ちつくす。
『いつまで立ってんの。座りなよ。どこでもいいから』
男が運んでくれたシンプルな食パンとコーヒー。
たったそれだけなのに心は急速に温度をもちはじめる。
聞きたいことはたくさんあるけどまとまらなくて…何も言えない。
…とりあえずパンを一口…
「おいしい…」
ついポロッとでた言葉。
『そーか,よかったよかった』
笑うというには少し感情が足りないような笑み。だけど,それがアタシに向いてると思ったら嬉しくなって…アタシも微笑んでたみたい。
『ほんとよかった…ちゃんと笑えてるな』
「…?」
『いや…昨日の見てたら…なあ』
心配してくれたんだ…そりゃあそうだよね。見ず知らずの女子高生があんな事になってたら…
『あ,俺…梶間侑登(かじまゆうと)っての。ここは俺んち…つってもマンションだけど』
梶間…侑登さん…
「あたしは柚尽蛍那(けいな)っていいます!!
ぁの…お礼いうの遅くなっちゃって…。
昨日にしろ今日にしろ,ほんとにありがとうございました!」
話してる間,じっとアタシを見てた梶間さんが口を開いた。
『…昨日さ,よかったらで良いんだけど……何があったか聞いていい?』
急に話しを戻されてついごもってしまった。
(っ…言わないと…いけないよね…
助けてもらったわけだし…)
「実は…」