年上の事情。‐6-4
「告白されるってのは‥
やっぱり、どきどきする‥ね」
「どうするんですか、先輩」
「どうするって‥ねぇ。
はぁ‥どうしよ」
あたしは頭を抱えた。
「めずらしいですね、先輩が悩むなんて。
だって、立花くんの気持ちなんて分かってたことじゃないですか。
答えなんて、前から出ていると思っていました」
香ちゃんの言葉に、はっとさせられる。
香ちゃんとの付き合いは長い。プライベートも一緒のことが多い。
あたしの考えていることはお見通しなんだろうか。
「香ちゃん、なんか‥
あたしに似てきた?」
「先輩に鍛えられました」
どうしよう――
どっちがいい――
人はよく口にする。
でも大抵は、自分の中で答えは決まっている。
部屋の中には2人。
何時間か前に比べるとすっかり静かになった部屋に、着信音が鳴り響いた。
「メールだ‥」
「立花くんじゃないですか?さらに駄目押しで、メールでも告白とか?」
えー。
緊張しながら携帯を開く。
告白されて、どきどきしているのは事実だった。
あ。
差出人に表示されている文字は、
『鳴海淳吾』
だった。
彼も彼なりに、あたしを心配してくれているのだろうか。
そう思うと肩の力が抜けた。
クスッと笑うあたしを香ちゃんは不思議そうに見ていた。
『言うの忘れてました
今日はありがとうございました
料理すごくおいしかったです
オヤスミナサイ 』