『陰幽霊光』-2
〔め を
つむ
れ〕
「………目を、瞑れ?」
なんじゃ、こりゃ?
まぁ………とりあえず……
目を瞑る、健太。
《…目は、開けないでね》
「!」
また声……
健太は目を瞑ったまま……
「えっ……と……誰…?」
《さあ、誰でしょう?……ああ、目を開けないで!》
「なんで?」
《キミとお喋りできないからさぁ…………
あ、ちなみに私は幽霊ね》
「………そうなんだ」
《恐くないのぉ?》
恐いも何も…………
どうすれば恐がれるんだ?
とりあえず、俺の分析……
声からして、性別は『女』だろ?
………以上。
《いやー…キミ面白いね!いっつも、キミの事を見てたんだよ》
「え!?見てたの!?」
《うん、見てたの》
「へぇー」
プライバシー保護など、
完全に無視した、存在らしいな………
《へぇー、……って……ふふふ。
キミ、本当に面白いねぇ》
「そりゃ、どうも。
疲れたから、そろそろ目を開けていいか?」
《それは、ダメ!》
「どうして?」
《う〜ん、何て言ったらいいのかな………
私、すごく弱い幽霊なの。だから目を開けて、
外の世界に集中されると………生きてる人に干渉ができない………のかな?》
「いや、俺に聞かれても」
《まあ、要するにね
目を瞑っててくれなきゃ
キミにイジワルができないの》
「………なるほど」
つまりは、
何も見ずに、彼女の事だけを考えられる。
そんな状況じゃなきゃ、
会話ができないわけね。