投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

光の風の最初へ 光の風 160 光の風 162 光の風の最後へ

光の風 〈貴未篇〉前編-5

「どうした?マチェリラ。」

マチェリラの頭の中で今までの貴未の言葉が反響する。

「今の話は本当なの?カルサトルナスって…じゃあ貴未は今オフカルスに!?」

「国の名前はシードゥルサだけど…マチェリラ?」

シードゥルサ、初めて聞く国の名前をマチェリラは呟いた。名前は違う、でも間違いではないと確信していた。

貴未の横、茫然とマチェリラを見る日向に視線を合わせた。まだ微弱の火の力を持つ人物。

「じゃあ貴方は…。」

突然様子をかえたマチェリラは間違いなく日向に向けて呟いた。

「こいつは最近まで地球にいたんだ。どうしたんだ、マチェリラ?」

頭の中での自問自答は終わらない。何がどうなっているのか、マチェリラも決めかねていた。

「二人に聞くわ。」

マチェリラは貴未の質問に答えず、視線を落とし気味に呟いた。場の空気に慣れず、貴未と日向はお互いの心中を探るように目を合わす。

「玲蘭華、ウ゛ィアルアイ、という名前を聞いたことは?」

そう言い終わった後、マチェリラはゆっくりと顔を上げた。そして二人の表情を見る。

日向は知らなかったのだろう、何を言われているのか分からず少し困惑しているように見えた。

そして貴未は。

「なんで…。」

マチェリラの表情は一気に切ないものへと変わった。

何故その名前をマチェリラが知っているのか。そんな思いがにじみ出ていた。マチェリラの叶わぬ願いが打ちのめされてしまった。

「もう遅かった…なんてことなの!」

悔やみきれない思いからマチェリラは手で顔を覆った。貴未達には彼女の行動や言葉の意味が分からなかった。

貴未はカルサの周りの事情を少しながら知っているだけに、マチェリラの言葉に強く反応する。

「なんでマチェリラが知ってるんだ?」

貴未の声が強く響く。

「今は…言えないわ。でもいまので永の事は想像がついた。」

「永の!?」

「きっと彼女は捕われてる。」

一気に空気が変わった。三人を包む空気はピリピリと緊張している。幼い頃に離れ離れになってしまった貴未の片翼の永は捕われている。確かな口調でマチェリラは言った。


光の風の最初へ 光の風 160 光の風 162 光の風の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前