夏の朝-1
いつもの朝がやってくる。いつも日差しをさえぎるカーテンは、昨夜星空を眺めながら眠りについた為窓の両端でひらひらと朝の日差しとともにかすかに動いている。
直接太陽の光を頭に浴び夢現な私は寝ぼけながらタオルケットを頭からかぶった。
まだ残暑厳しい夏の季節だが朝はまだ残暑という暑さは未だなく昨夜の熱帯夜が嘘のようだ。
「いつまで寝ているんだ?」
朝の日差しが一瞬さえぎられた。部屋の窓の向こう側はベランダになっていて、自由に隣の部屋の人間が出入りできる。そのベランダを通って良和が私の部屋の前までやってきたのだ。
「眠いのよ〜まだ6時だよ?」
「窓を開けっ放しにしているお前が悪い。俺はいつもここに来るのが日課なんだ。」
一体どんな日課だというのだろうか…ベランダなら自分の部屋の前にもあるだろう。
そう想いながらも面度くさいのでタオルケットに包まったまま何も答えない。
「無視するなら襲っちゃうぞ〜」
ガラガラ…
網戸を開け良和が入ってくる気配がした。
そのままベットの中にもぐりこんでくる。そして抵抗もなく私はいつものように受け入れるのだ。
「憂、頭上げて…」
私の頭の下に良和の腕がおかれる…
良和は私の一歳上でこの「都」家次男だ。この家に私が住み始めたのは6歳のとき。
小学校に上がる少し前の春の風が吹き出した頃だった。
いとことしてこの家に厄介になっているが本当はいとこでも親せきでもない。
親通し仲がよく訳あって私を一緒に住まわしてくれている。実際の親のようにしかってくれ、わがままな末っ子のように育ててくれる。
そんなこのうちに来て約10年がたった。いまだ私の両親は私を迎えにはこない。
最初の1〜2年は顔を見せに来てくれたが…ここ最近はめっきり姿を現さなくなった。
もう生きているのか…死んでいるのかさえ解からない。
目覚まし時計がけたたましく鳴り響く。
二人ともそのまま二度寝してしまっていたらしく。私は良和の腕の中であたたかくて居心地がよかったのか目覚ましがなるまで時間がたったのに気づかないくらい熟睡していたらしい。
バサッと飛び起き良和を押しのける。良和は押しのけられたのもあまり気づかす未だ余韻を残していたいのか近くにあった私の枕を抱き抱えもぞもぞしている。
私は右手を伸ばし良和の頭の後ろにある目覚まし時計をとめる。こんな近くで鳴り響いているのにまだ寝ていられるって言うのが私には理解しがたい。
伸ばした右手を戻そうとしたときに不意に腕を引っ張られ、私は良和の上にのってしまった。そのまま良和は私を抱きしめる
「おきてたの?」
そういいながら私は体を起こそうとするがさすがに男。力が強い。
部活の陸上で鍛えているのか、ただ女の子にモテタイから鍛えているのかよくはわからないがここ最近筋肉がついてきた。おまけに夏休み中の陸上練習でこんがり焼け、髪は金髪に近い茶色。この時期といいサーファーに見える。
ただでさえ高校ではモテル男の子。“いとこ”として高校ではいつも隣にいられる私をクラスメートはうらやましがる。
小さいころからいつも一緒。一人で泣いているといつも気づいてそばにいてくれた。
≪恋≫?そんなこと思いもしなかった。いや…。いつも一緒にいすぎて気づかなかった。
貴方が私のことをどう思っているかなんて考えたこともない。