あの日-1
あなたとはいろんな所に出かけたね。春は桜の満開になった小さな公園に、夏は白い砂浜の綺麗な海、夜空は大きくて色とりどりの花火達。冬にはイルミネーションが光り輝くあの繁華街。
どれを思い出しても綺麗で楽しい思い出…
そう、今はもう全て思い出の中のお話。
春から冬へ一年が過ぎて三度目の季節へ向かう途中、私とあなたは離れてしまった。
原因なんて分からない。ほんの小さな隙間が埋まらないほど大きな溝になっていたのかもしれない。
あの頃はあなたとならどこまでも行けるって…ずっと一緒だと思ってた。
ううん…そうなるはずたった。
あなたから『あと半年経ったら結婚しよう』って言われた時、私、天にも昇る気持ちだったのを今でも覚えてる。
ねえ?知ってた?私あの時笑って『うん』って答えたけど家に帰った後、嬉しすぎて一人で泣いたんだよ…
あなたの前ではどんな事があっても一回も泣いた事なんてなかったけどね。
今思うと我慢してたのかな?
離れ離れになった後も実感がなくて、次の日になればまたあなたにあえる気がしてうまく泣けなかったのをよく覚えてる。
日が経つにつれて『あぁ…もう会えないんだな』って気付いて後悔して泣いた。
あの時は身体中の水分なくなって干からびちゃうんじゃないかって思うぐらいたくさん泣いたんだよ。
それすら今はもう思い出…
あれから五年。
私もいくつか恋をした。そして一人の人と出会ったの。
その人とは…あなたと一緒に居た時程いろんな所には行ってないの。
けど、あなたと居たとき程、もう我慢しなくていい人。
あなたと違ってちゃんと私の話をよく聞いてくれる人。
あなたと違って私を一人にしないの。
あなたと一緒に過ごした日々は、それまでちゃんとした恋愛なんてしたことなかった私にとって何もかもが新鮮だった。
あなたと過ごした日々は言いたい事何一つ言えずに我慢の連続だったけど、それでも人を愛するって事の意味を私に教えてくれた。
あなたは今でも私の中では大切な人だよ。
けど、これからはもうあなたの事思い出す回数も少なくなりそう。
私はこの人と幸せになるから。あたなとは違う人と…
あなたと願った幸せを、私は今あなたとは別の人と願ってる。
私、今幸せよ。あなたは?
今はもう思い出の中でしか会えないけれど…
あなたと出会えてよかった。ありがとう。
私、必ず幸せになるから。あなたもどうか幸せになりますように…心から願ってるからね。