MORE【1-前】〜出会い〜-3
「松長さんっ…」
『蛍那ちゃんっ…はぁっ…足早すぎだよ…』
追って来てたの!?
「母さんをっ…母さんはあなたが殺したの!?」
『……僕はね…』
「……?」
『蛍那ちゃん…きみを見ていたんだ』
「っ!?…いっ意味分かんない!!
大体あなたは母さんの恋…『ぼくはね…
きみのお母さん…美希を見ていたはずなのにいつのまにか重ねてきみを見てた。欲しかったんだ…ずっと』
「……っ!?」
背筋がゾッとした。
狂気にみちてまともな自我を無くした【男】が目の前にいるのだ。恐ろしくて動けない。
だんだんと自分たちの距離が近づいていく。
「やっやだ!!…こないでっ!!」
『やっと2人きりになれたね…はぁ…』
松長さん息があらい…逃げなきゃ…
その場から消えたいという強い思いとは
裏腹に,体は遅かった。
あっと思った時、すでに左手は強く掴まれていた。
「ぁっあ…ぃやっ!」
そのまま後ろからきつく抱きしめられる。
『ねぇ…蛍那ちゃん彼氏いないよね?
ぼくと付き合お…ねっ?』
腰あたりに奴の堅く立ち上がったモノがはっきりと感じとれた。
逃げたくても、男の力にかなうほど強くはない。
(いかれてるっ!!この人おかしい…
なんでこんなことに…)
Yシャツの裾から生ぬるいものが侵入してくる。
「ちょっちょっと…!
んぁっ…くぅ…」
吐き気がする…
恐い…
叫べない…
このままやられるなんてゃっ…
『はぁっ…蛍那ちゃん…どこがいい?
やっぱ下の方かなあ…』
…諦めかけていた
…その時
バキッ!!
松長さんが数メートル先にあるゴミ置き場所に突っ込んだ。
『最近のオヤジはこんな若い子にもすぐ手だすのかぁ…?ついてるモン粗末なくせに、無駄なことに励んでやがる』
(だれっ!?こっ声でない…)
『お前も叫べって』
間髪入れずに蛍那にも吐き捨てる。
はっとする。
松長さんは…もうどこかに行ったみたい。
『お前,いつまですわってんの?』
未だに残る恐怖で声がでないし…立てない。そしていつのまにか涙が頬を伝う。
『おいおい,俺が泣かしたみたいじゃね-かっ!!』
腕を掴んで立たせてくれる。
誰かも知らないその人に…
その心地よい温度にしがみつく。
(この人は何か安心できる)
胸に顔を埋めていると,ホッとして
アタシはそのまま意識を失った。
―これから、アタシの人生は大きく変わることになる―