SLOW STARTV-1
【おはよ。今から会社行く準備だよ。晶ちゃんは何の仕事?あ〜朝忙しいかな〜晶ちゃんが暇になったら返事くださいな。じゃあ】
画面を見る。なんだかホッとした。
…ユウキ君はいい人なのかなぁ、なんて返事しよ…
返信ボタンを押す。
【今日は寝坊して遅刻しちゃいました。仕事は〜ん〜…簡単にいうとファミレス経営してる会社の事務仕事してるOLかな。ユウキ君はどんな仕事してるの?】
…送信っと。
「彼氏か?」
「…田山先輩!?」
耳元で囁かれた。声の主はもちろん田山先輩だ。ニヤリとあたしを見下ろしている。
「お前がメールって久々に見たわ〜彼氏だろ?」
「ち、違います!彼氏なんかじゃありません!!」
からかわれると思い立ち上がって力一杯否定した。
意外にも田山先輩はふ〜んと言うとそれ以上何も言ってこなかった。
…なんか拍子抜けかも。もっと突っ込まれると思ったのに…
田山先輩は会議で使うプロジェクターを準備しながら何か鼻歌を歌っていた。
「なんか先輩いつもと違う気がします。何かありました?」
「ん?別に〜何も」
先輩は準備を終え机に腰掛けた。
上着を脱ぎYシャツの袖を捲くりあげていた。腕時計を見てから伸びをする。
服を着ていても筋肉質なのが分かる。草野球で日焼けしただろう黒い肌が綺麗だと思った。
ハッとして視線を外す。しばらくの無言に耐え切れなくなり話題を探した。
…特にないし…気まじ〜
先に話し出したのは田山先輩だった。
「お前今日の夜暇?」
「え?暇っちゃ暇ですけど…」
「よし!飲み行くぞ」
「え〜今日ですか〜?」
結構面倒臭かったので渋ってはみたが既に決定したらしく、あたしの反論は聞いていなかった。
…まぁいっか、どうせいつもの居酒屋だろ…