きみのとなりへ 番外編@-1
惹かれていく…君の涙、笑顔、全てに
『きみのとなりへ』
番外編? 〜誠二side〜
彼女を始めて見たのは、高3の梅雨がやっと明けた時期だった。
雨続きだったせいで公園でのライブが最近出来てなかった。だから、久々のライブにかなりテンションが上がっていた。
ライブの準備をしてた時、ふと公園のベンチを見ると、俯いて電話をしてる女の人がいた。
茶色の巻き髪に、高そうなネックレス、高めのピンヒールのパンプス。
格好だけ見ると、少し高飛車な印象。
でも、喋り口調や、きちんと膝を閉じて、鞄を膝の上に置いて、ベンチの端に座ってる姿を見ると、なんとなく優しく律儀な人のような気がした。
綺麗なお姉さんって感じで…。
正直好みのタイプだった。だから何となく気になってしまった。
ライブを始めてから一時間近くたって、お客さんを交えて喋ってた時、ふと気になって、ベンチの方を見てみた。
まだ電話してる。
随分長電話だな。
あれ…?
何気なく彼女を観察してると、彼女の頬を伝うキラキラとした粒を見た。
泣いてたのか…いつから?
静かに静かに泣いている彼女に、俺は思わず釘付けになってしまった。
しかし、ライブが終わる頃には彼女の姿はなかった。
なんで泣いてたんだろう…。
そのことが気になって、なんとなく忘れられなかった。
1週間後、彼女はまた公園にいた。
しかし今度は、友達を連れて俺達のライブを聴きに来ていた。
曲が終わる度に満面の笑顔で拍手をする彼女。
ずっとずっとニコニコ笑っていた。
だから余計気になった。
こんなにニコニコ笑う彼女が泣いてたのは…
何故?
こんなに女の人に執着したのは初めてだった。
今まで自分から誰かを好きになったことがなかったから。
こっちから好きにならなくても、いくらでも女の子の方から言い寄って来るから。
だから、ある意味、俺はそこまで女の子に関心がなかった。