きみのとなりへ 番外編@-6
「………大学の人?」
「え?あぁ、うん。3つ上の先輩!」
ちょっと照れくさそうな薫ちゃんの声。
「へぇ…。か、かなり年上なんやね!」
なんか、薫ちゃんの顔が見れない。
「…やっぱ…離れすぎてるよね…。」
「えっ?」
思わず薫ちゃんの顔を見てしまう。
「ん、ううん!なんでもないと!」
なんでもないと言う薫ちゃんの顔は…少し寂しそうだ。
「…うまく、いっとらんと?」
「え?いやぁ〜そんなこと…………」
「…………」
「………たださ…。」
「ん?」
「ん、ただ…やっぱり3つも年上だと…恋愛の価値観とか、テンポとか結構違ってて…少し…難しいかな…?」
えへへ、と薫ちゃんは悲しげに笑って
「あ!でも、うまくいってないわけじゃないよ!」
と、少し大きな声で言った。
もしかして…
あの時の涙の原因は…
「どした?」
「えっ!」
ハッと我に返ると、信号待ちで車を止めた薫ちゃんが、俺を心配そうに見つめていた。
「ん、なんか黙ったから。…なんか、ごめんね、暗い話しちゃって…。」
「あ、いやっ。あっ!薫ちゃんいつ免許取ったの?運転うまいよね!」
「え、そう?大学は推薦で入れたから、高校生のうちに取っちゃったんだ〜!ずっと車欲しくて、お金貯めてたから卒業と同時に買っちゃってさ。だからまだ半年しか経ってないけど、結構いろんなとこ行ったかな〜!」
「そうなんだ!車いーよねー!俺も早く免許取りて〜!!」
その後も、ちゃんと楽しそうに、二人は会話したと思う。
でも、何を話したかあんまり覚えてない。
正直頭に入らなかった。