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きみのとなりへ
【純愛 恋愛小説】

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きみのとなりへ 番外編@-2

だから、
こちらを向いてほしいと思ったり、
話したいと思ったり、
その人が居ない場所でその人の事を想ったりしたのは

初めてだった。



だからすぐに気付いたのかもしれない。
俺の隣に居る奴の熱い視線に。


ある日のライブの帰り道、俺は、いつも一緒にライブをやっている一平に話しかけた。

「一平、お前今好きな子いるでしょ。」
きょとんとした後、顔が真っ赤になる一平。

「な…なんでっ」

「そんな顔してる。どの子?」

「んなっ…内緒だよ…」

必死に隠すのがバレバレなのに、一平は分かりやすいなぁ。

なんとまぁ、一平は俺が気になってる子といつも一緒に来てる子が気になってるみたいだ。

まぁ、ある意味、同じ子じゃなくてよかったよ。




次の日、あんまり一平がニヤニヤニヤニヤするもんだから、カマを掛けてやった。

すると昨日、俺と分かれた後、あの一平が気になってる子に会って、名前が分かって、しかも話せてしまったらしい。

幸せそうな顔が憎たらしい。
俺だって彼女の名前が知りたい。話がしたい…。




次の週のライブの後、彼女の方を何気なく見てると、彼女の友達(一平から聞いた話によれば、その子は“沙癒”って名前だった)は急いで帰っていき、彼女は一人になった。

チャンス?
話し掛けてみようか。

でも…なに話そう。
突然話し掛けたら驚くよな…。
うぅ〜ん……。


今まで、女の子に話し掛けるなんて、俺にとって何ともない事だったのに緊張してる自分がいた。


うわぁ、俺ダッセェ。なにドキドキしてんの。




結局その日は話し掛けられなかった。


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