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僕らの日々は。
【コメディ その他小説】

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僕らの日々は。〜冬の日、幸運〜-2

「あ。春風、先に並んで場所取ってて!」
「別にいいけど……どこ行くのさ?」
「長い間ただ並ぶのも疲れるから何か買ってくる。何がいい?」
「一葉に任せるよ。あ、できれば温かいのがいいな」
「オッケー。ちゃんと並んどいてね!」
「はいはい。分かってるよ」

数分後。
寒さに手を擦り合わせながら、手袋してくれば良かったかなー、とか後悔してたら一葉が戻って来た。

「お待たせ!ハイこれ」
「何買ったの?」
「タコ焼き。いつも不思議なんだけど、なんでお祭りのタコ焼きはたいていタコ無しが混じってるのかしら?」
「いや確かにあるけど……全部の店がそうなワケじゃないだろ」
「さらに不思議なのがそのタコ無しがあると分かっててもつい買っちゃう事なのよね。なんでかしら?」
「知らないよ」
「お祭りの魔力かしらね」

魔力、ときたか。
そんな話をしながら、一つタコ焼きをつまんで………………あれ?

「……タコ無しだ」
「さっそく当たりね春風。今年はきっといい事あるわよ」
「当たりなのかコレ?」
「当たりだと思えばなんだって当たりよ。タコ有りはハズレだけど美味しい。タコ無しはタコが無いけど当たり。そう考えればどれを食べても嬉しいでしょ?」
「なるほどね。ま、確かにそうだ」

それでもタコ無しのタコ焼きは、何故かとても美味しく感じた。
『祭の魔力』ってのもあながちハズレではないな、と思った。


▼▼

僕たちのお参りの番が来た。
二拍手を打つ。正式な作法が確かあったはずだが、よく覚えてないのでとりあえず手拍子だけにした。

「…………………」
「…………………」

「春風は何お祈りしたの?」
「無病息災。ついでに家内安全」
「別にそんなことお祈りしなくても、春風病気なんて滅多にしないじゃない。無欲ねぇ…」
「成績なんかは自分で上げる他はないし、特に他に神頼みするような事が思い付かなくてさ。一葉は?」
「何か今年もおもしろい事が起きますように、って」
「あー、それは確かに神頼みするしかないね」
「でしょ?我ながらなかなかいい願いだと思うわ。春風も今度からそう願いなさい!」
「いや、僕はいいよ」

神頼みなんかしなくても、面白い事はたいてい一葉が連れてくるので、僕は別に困っていなかったりする。
……望む望まざるに関わらず、という条件付きではあるが。

「さて、どうする?帰る?」

とりあえず参拝も終わり、やる事はやったと思った、…………のだが。
一葉的にはそうじゃ無かったらしい。

「ちょーっと待ちなさい春風。まだ肝心な事が済んでないでしょ?」
「え?お参りは終わっただろ?」
「だーかーらぁ、お参りじゃなくて。初詣と言えばアレでしょアレ!」
「……いやゴメン、分からない。何さ?」
「もう、しょうがないわねぇ……」

一葉はそんなことも分からないのか、とでもいうような顔で言った。

「おみくじよ、おみくじ。決まってるでしょ?」


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