[可愛い彼]

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「イジワルな彼〜新たな一面〜」-2

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部屋に入ると、相変わらず男の子なのにキレイに整頓されている

「さぁて！キッチン借りますね！」
穂香はシャツを腕まくりして張り切っている
「手伝うよ」
「…大丈夫です！嶋田さん疲れてるんだから休んでて下さい？」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
ソファーにもたれかかると、日々の疲れのせいか睡魔に襲われる
ウトウトし始めた時ーー

「いったーい！！」台所が騒がしい
「どうした？」
台所を覗くと、皿やフライパンがシンクにグチャグチャに重ねられている
「すみません…ちゃんと片付けしますから！」
指を口に加えながら謝る
「それはいいけど、指‥切ったの？」
穂香の指にはいくつもの絆創膏が巻かれている
「…実はお料理苦手で。でも、こんな事もあろうかと、さっき絆創膏買ってきたんで大丈夫です！」
ヒロは呆然としている
「……だって、この間の取材で料理が上手な子が好きって言ってたから！女の子らしい所見せたくて…」
頬を膨らませ、弱々しく抗議してくる

“こーゆーいじらしい姿が充分女の子らしいけどな”
「ハイハイ。‥それよかさっきから焦げ臭いんだけど」
「あー！！ハンバーグ焼いてたんだったぁ！！」

テーブルには、とてもハンバーグとは言い難い夕食が並ぶ
「‥見た目は悪いですけど、味はイケてますから！」
「‥いただきます」
パクっ！！
ヒロは眉をひそめる「えっ！嘘！うぅ〜マズッ」
思わず、口から出しそうになる
“嶋田さん、呆れちゃったかな…”
チラッと前に座るヒロを見る
「焦げはいいとしても、何でそぼろ状になってんだ？」
ヒロは眉間にしわを寄せながらも、箸を止めない
「嶋田さん！無理しなくていいですよ！！」
穂香の忠告を無視し、結局全部食べ終えてしまった

「ふぅ、ごちそう様でした」
「…残してくれて良かったのに」
穂香は半泣き顔だ
「一生懸命作ってくれたのに、残せるかよ」
“嶋田さんってやっぱ優しい”
「…ありがとうございます！」
「何が？」
照れてるのか、目線が斜め上だ

食事も一段落し、片付けをしようと立ち上がると
「片付けいいからさ、ちょっと休みな」ヒロが穂香をリビング連れていく
すると、足の間を開け、床をポンポンと叩く
「特等席！どうぞ？」
“座れって事だよね…？”
「ぉ、お邪魔します…」
チョコンと足の間に座る
頭にヒロの息がかかり、心臓がバクバクうるさい
“嶋田さんに聞こえちゃうよ‥”

ビクッ！
優しく髪を撫でられ、つむじにキスされる
「穂香、いい匂いするね」
“ぁっ！〜もう、ダメ！恥ずかしい！！”
すくっと立ち上がると、本棚に駆け寄る「‥あっ！これ読みたかった本なんです！今度、貸して欲しいなぁ」
後ろから、抱きしめる形で手を掴まれた
“！！！”
「コレ、バス釣り攻略本なんだけど、穂香も釣り好きなんだ？」
「‥実は大好きで」「ふーん、帰り貸してあげるね」
パッと手を離すと、ヒロは笑っている