僕らの日々は。〜夏の思い出〜-1
「……あら?何かしらこれ」
ある日、部屋の片付けをしていたら古いノートが出てきた。
タイトルは、
『夏休みの絵日記帳』。
下の方に大きく
『4年1組 しの宮 一葉』
……と私の名前が書いてある。
そういえばこの頃はまだ『篠宮』って漢字で書けなかったんだっけ、私。
苦笑して中を開いてみた。
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8月 12日 天気:晴れ
今日は友達の春風くんといっしょに山へあそびに行きました。
森の中は夏なのにとても涼しくておどろきました。
とちゅうで大きな犬がいたので、手まねきをしてみたらとてもよろこんでかけ寄って来たので、すぐに仲良くなりました。
でもじゃれあっている内に犬はどこかに行ってしまったので残念でした。
それと、山からの帰り道で困っている人を見かけたので迷わず助けてあげました。
人の役に立てたのでうれしかったです。
とても楽しい一日でした。
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「そういえばそんな事もあったわねぇ」
日記には森の中でやけに大きな犬と遊んでいる女の子と男の子の絵が添えてあった。我ながらなかなか上手に描けていると思う。
…まぁ、なんにしても。
「よっぽど楽しかったのね、私」
そう呟いてノートをしまった。