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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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ICHIZU…G-1

ー大会4日目ー

「ツー・アウト!」

先発の信也、中継ぎの直也の後を引き継いだ上野は野手に向かって、親指と小指を立てて右手を挙げて見せる。
野手達も上野に応えて声をあげた。

2回戦、青葉中学は魁正中学と対戦。9対1で最終回を迎えていた。

上野はセット・ポジションから速い動きで投げる。
魁正のバッターは思いっ切りバットを振った。鈍い音を残して打球はセカンドに転がった。
セカンド田村はがっちり捕ると、ファーストへ送球。ボールはファースト仲谷のミットにおさまった。
ゲーム・セット。青葉中学は順当に勝ち進んだ。



ー昼過ぎー

2回戦を終えた一行は、一旦、学校に戻って機材を片づけると、監督からの注意や明日の予定を聞いて解散となる。

「今日はまったくダメだった…」

その帰り道。佳代は開口一番、独り言のように直也と山下に言った。
1回戦同様、佳代は5回から途中出場した。前回よりも気持ちに余裕があった彼女は、もっとチームに貢献出来ると勇んでた。
しかし、結果は1三振、1四球、1盗塁。特にワン・アウト1、2塁のチャンスに廻ってきた打席で三振したのだ。

それに対して直也はニヤニヤ笑いながら答える。

「あれは三振で良かったぜ!」

「どういう意味よ!」

聞き捨てならない言葉に佳代は語気を荒げる。
すると、今度は山下が素っ気ない口調で、

「あれだけ肩に力が入ってたんじゃ、当たっても内野ゴロだろ。ダブられるくらいなら三振してくれた方がマシだ」

「ぐっ……」

当たってるだけに、佳代は何も言い返せなかった。

(そうだ。あの時は、自分が点を奪る事ばかり考えていた…)

佳代の心境を察したのか、山下が話題を変える。

「こいつだってそうだぜ。オレがスライダーのサイン出してるのに首振りやがって……結局打たれて点奪られてさ」

それは5回ウラ。信也とピッチャーを交代した直也はツー・アウト3塁のピンチを迎えた。
次のバッターを追い込んで、キャッチャー山下はスライダーを要求した。
しかし、直也はストレート勝負にいった。結果は佳代の前に落ちるタイムリー・ヒットを打たれた。

「だって!あれは…」

「あれは、じゃねぇの。真っ直ぐ狙いのバッターに真っ直ぐで勝負するバカが何処にいる」

今度は直也が黙ってしまった。
山下は小さく笑うと、佳代の方を見て、

「今日みたいな日もあるさ。気にするな」

「ありがと……」

3人は正門前に来ると、各々の家へと帰っていった。


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