ICHIZU…G-15
意気消沈して学校を出ようとする佳代。
(なんで?あそこでボールを逃がした…)
自問自答しながら自転車に乗ろうとした時、
「あっ、グローブ忘れた」
佳代は自転車を置いて部室に寄ろうとすると、ドアーから明かりが漏れて話し声が聞こえた。
「まったく。澤田の奴、最後の最後でエラーしやがって…」
「まさか地区の順々決勝で敗けたなんて、ここ最近、無いんじゃないか」
「まったくだ!OBの連中に会ったらバカにされるぜ」
「だいたい女のクセに野球やるのが間違いなんだ!榊と永井がなんであんなの選んだか知らねえが…」
それは試合に出れ無かった3年生達の声だった。
佳代は震える唇を噛みしめると、そっと、その場を立ち去った。
…「ICHIZU…G」完…