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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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ICHIZU…G-13

瀬高中学は1番からの好打順だ。
山下は外に構える。青木は速いモーションから投げた。

(…!)

山下の構えた位置より1メートルは外れたボールだった。

「ボール、替えてもらえますか」

山下が主審にボールの交換を要求して、新しいボールを貰うと、掌でこねて青木に渡した。

再び同じところに構える山下。青木は頷いて投げた。
1球目ほどではないが、やはり外れた。

3球目も外れ、

(まいったな…)

山下は構える前に両手を大きく広げて、真ん中に構えた。
青木の4球目。今度は真ん中高めに来た。バッターはバットを振ろうとしたが、止まった。

ボールを捕った山下は〈今のは振ったんじゃないのか?〉とファーストの塁審にアピールする。
ファーストの塁審は両手を横に広げた。〈振っていない〉というジャッジだ。

バッターが1塁へ歩く。ノー・アウトのランナーを四球で出してしまった。

その時だ。榊がタイムを取り、伝令を主審に走らせた。

「直也!交代だ。言ってこい」

「兄…キャプテン…」

信也がスポーツ・ドリンクの入ったコップを持ってブルペンに来た。初めての事だった。

「そんな事より、病院に…」

信也はそれには答えず直也に言った。

「頼んだぞ…」

「ハイッ!」

ブルペンの直也はスポーツ・ドリンクを一気に飲むと、マウンドへと駆けて行った。

青木が直也にボールを託す。

「すまん。アウトひとつも取れずにお前に任せて」

「とにかく精一杯投げます!」

直也の投球練習が終わり、山下がボールを渡しに来る。

「とっとと終わらせるぞ!」

「お前に言われるまでも無ぇよ!」

直也の言葉に山下は笑うとマウンドを後にした。

バッターは2番。最初からバントの構えを見せる。

(この点差でバントは無いでしょ)

山下のサインはヒザ元へのスライダー。
直也は頷くと、セット・ポジションからダイナミックなフォームで投げた。
瞬間、バッターはバットを引き打つ態勢になった。バスターだ。
直也のボールが真ん中からヒザ元へ滑る。バッターは空振りした。が、山下が捕り損ない、後に逸らしてしまう。

1塁ランナーはそれを見て2塁に進んだ。

ボールを返球する山下。少し表情が固い。
だが、直也は落ち着いていた。2番を三振に斬って奪った。


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