帰らざる日々-1
「ん…ううん…」
熱い吐息を漏らしながら、舌を絡め合う。唇は互いを奪いたいが如くにように吸いつく。
女は男の背中をしっかりと掴み、男の掌は女の腰を優しく抱いていた。
和哉と亜紀。姉と弟。2人は本能の赴くままに身体を貪る。
「あっ!…あぁん…ああ…」
和哉の唇が亜紀のうなじをゆっくりと責めると、彼女は悦びの声を挙げた。
あの時と同じように。
幼かった2人。中学1年の和哉とひとつ歳上の亜紀。姉弟は特別に仲が良かった。
姉弟愛だと思っていた感情が、お互いを求め合う感情だったと気づくのに時間は掛らなかった。
和哉の気持ちを知った亜紀は、身体を開いた。
だが、それきりだった。
中学生ともなれば、それなりの知識はある。自分達のしている事が、どれほど許されない行為か分かっていたからだ。
しかし、和哉には伝わらなかった。
一度は昂ぶる感情を交わしたのに、何故ダメなのか理解出来ないでいた。
執拗に身体を求めてくる和哉を、亜紀は頑に拒否した。
そんなある日ー
「亜紀。亜紀」
皆が寝静まった真夜中。誰かが亜紀を起こした。
「…ん……」
半分眠った意識の中で、亜紀は目を開ける。
「亜紀…」
和哉の声だった。
「何よ、和哉…」
亜紀はベッド・サイドのナイト・ランプをつける。
その途端、驚いた。和哉は裸だったのだ。
「もう、ガマン出来ないよ。亜紀。したいよ」
そう言った彼のペ〇スは天井を向いて脈打ち、先汁で濡れていた。
和哉の手が亜紀の足を掴む。亜紀はその手を払うと、
「私達、姉弟なのよ…」
「じゃあ、何であの時したんだよ」
亜紀は一瞬、返答に詰まった。しかし、哀し気な眼で和哉を見据えると、
「あれは間違いだったの。だから、あれきり……」
「そんなの酷いじゃないか」
和哉はそう言うと、亜紀の身体にのし掛った。