reality ability‐第4話‐南の草原、wind grassland‐-1
‐山道‐
疲れきった様子で歩いている凰輝。服装が少し乱れていた。顔も少しやつれていた。‥‥織音が言っていた出来事だろう。
「‥‥‥。辛い‥。」
‥‥よく解らないが、辛さはバッチリ伝わってきた。
‐一時間前、センターサークル、中心部の集神城の前‐
集神城はセンターサークルのど真ん中にあり、その前には広場になっており、噴水もあった。‥‥凰輝は噴水から少し離れた椅子に座っていた。
「‥‥‥」
真剣な顔なので考え事をしているのだろう。‥‥皇希の事なのか、それとも、この戦いの事なのかは解らない。
「おい!みんな!織音様とあいつが喧嘩しているぞ!」
急に叫んだ。もちろん、凰輝ではない。そこら辺にいる無名の全知全能の神が、だ。
「‥‥嫌な予感がするが、行くしかないか?‥‥はぁ‥‥」
凰輝は立ち上がり、重そうな足取りで歩いていく。
‐少し離れた場所にある通り‐
「‥から〜!俺は俺で余裕だから、ついて来なくてもいいって言ってるんだ!」
「何よ!?心配になるのがいけないわけ?それとも、私が弱いからついて来るなって言いたいの!?」
‥‥友情なのか愛情なのか知らんが、喧嘩が絶えないのは良い事だと思いたい。もちろん、皇希と織音……の二人。
「‥‥自分の心配をしろ!」
「!!」
『!!織音様が〜本気になった!!』
数名の神は言う。そう、織音は幻想具現化を出したのだ。酷く怒っているので、幻想具現化にも影響が出たようだ。
形状が違っていたからだ。いつもなら、単純な形の剣だったが、一本は先に行くにつれて刀身が反れていた。もう一つは逆刃だった。
「皇?私が怒らないと思ったら大間違いなんだからね?」
とても笑顔とは思えない笑顔で言う。
『いいぞ〜!織音様!』
『やっちまえ!』
外野が織音を煽る。‥‥というか、辺りも皇希に対して殺気を放っていたのだ。
「‥‥」
皇希は表情を変える事無く、いや、変わる様子は全く無く軽く見回した。
「皇希?本気になってね。一回、戦ってみたかったの。」