reality ability‐第4話‐南の草原、wind grassland‐-9
「‥‥さ〜て、かかって来なさい?‥‥」
謎の人物は殺る気?いや、やる気満々だった。構える姿から細身の人物のようだ。
「くっ、どこの誰かは知りませんけど、私を甘く見ないでください!」
闇は一瞬で動く。
〈‥‥ギィン!〉
だが、謎の人物はあまり動かずに防ぐ。刹那の動きをした闇がまるで赤ん坊のように思えた。
「くっ!私の攻撃が単なる長剣で、それもこんな華奢な身体の奴に‥‥!」
長剣の先端部の一点で闇の短刀の先端部の一点を当て弾き返したのだ。凄く難しい事を謎の人物は簡単にこなした。
「‥‥物事には“絶対的な力”がある。ただ“それ”を極めただけ‥‥」
謎の人物はさらりと言う。その自信は先ほどの行動で解った。努力家のようだ。
「くそっ!貴様ぁ!」
闇は我を忘れたように短刀を縦横無尽に振り始めた。
〈ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!ギィン!〉
だが、謎の人物は全てを防ぎきる。流石だ。
「‥‥やれやれ。仕方ないなぁ。少し本気を出すか。‥‥」
そう言うと、謎の人物は消えた。いや、いつの間にか闇の少し後方に居た。
「な‥‥に‥‥?」
闇は至る所から血を凄い勢いで流れ始めた。凄まじい速さと技であったようだ。ただ、目視は出来なかった。
「‥‥終わりだな。‥‥」
謎の人物は闇に近付いて行く。闇は動けなかった。立つ力さえ無さそうだ。
「く、‥‥くそっ!‥はぁ‥撤退‥‥はぁ‥‥する‥‥」
闇は凄い速さで移動魔法陣を創り、それに逃げ込んだ。
「‥‥逃げたか。‥‥」
‥‥というか、逃がしたように見えた。まぁ、わざとかどうかはさておき。凰輝と羅紅が心配だ。
「‥‥‥‥」
謎の人物は長剣を持っていなかった。いつ、一体どこへ?そして、凰輝にゆっくり近付いていく。
「‥‥いつまで狸寝入りをやっているんですか?‥‥」
謎の人物が気絶している凰輝に言った。反応するはずがないと思ったが、
「‥はぁ‥‥はぁ‥‥狸寝入りではありませんよ?‥‥はぁはぁ‥‥体力を回復中です。」
意外と気絶してなかった凰輝だった。