reality ability‐第4話‐南の草原、wind grassland‐-7
「ふぅ、終わったぜ!‥‥さて、後はお前だけだ!!」
羅紅は闇を剣を向けた。十数分しか掛からなかった。
「‥‥何を言っているんです?」
「‥‥何!?」
闇は言った。羅紅は不思議に思ったが、その光景を目の当たりにして納得した。
「なんだと!?」
羅紅は確かに倒したはずの敵が立ち上がる事に驚き、動揺を隠せなかった。復活し始めた者は見る見るうちに傷が治っていく。
すると、今まで黙っていた凰輝が喋りだす。
「やはりな。道理で手応えが感じられなかった訳か。」
凰輝は薄々感付いていたらしく動揺はしてなかった。言葉に自信があったからだ。
「それと、いつもなら消えてしまう身体が消えないのが不思議だったけど、これで解決した。」
そう言った凰輝は周りを見回す。
「ほう。‥‥“例の者”から“真実”を聞きましたね?」
闇は喜んだように笑顔になる。そして、意外な事に“真実”という単語を口に出した。
「知ってしまったさ。‥‥だからといって、俺は退く事は無い!この“真実”を終わらせる為にも!」
凰輝は身構える。本気のようだ。独特な構えになった。
「良く解らんが、俺は俺なりにやらせてもらうぜ!」
羅紅も独特な構えになった。だが、凰輝と羅紅は反対なっただけで同じだった。凰輝は右足を少し前に出した自然体で双剣を前後に構える。
反対になっただけなので、羅紅は左足を少し前に出した自然体で双剣を前後に構える。剣も凰輝は右手が前、羅紅は左手が前と完全に反対なだけだった。
「ふぅ、困りましたね。この状況でも恐怖心が無いとは。‥‥誤算でしたよ。」
闇は暗器を手に持ち始めた。短刀だと思うが余りにも小さな物なのでよく解らない。ただ、クナイではないのは明らかだった。
「この攻撃に耐えれますか?」
〈‥‥‥‥ブシュゥ!〉
「っく!!??」
凰輝の左太股(ふともも)から血が流れ出す。音も無い‥‥いや、風の切る音や武器を振りきる音すら聞こえなかった攻撃に二人は反応出来なかった。
だが、闇は動いたのが解らないぐらい速さのせいか、その場所に立ったままだった。
「どうですか?少しは恐怖心が芽生えてきたでしょうか?」
再度、質問する闇。
「バカな!俺や凰輝が一歩も動けないだと!?‥‥くそっ!」
羅紅は恐怖心が芽生えてきたらしい。小さなモノだが確実に動揺へと繋がるだろう。
「くっ!まだだ!俺は死ぬ訳にはいかない!彼を助ける為にも!」
凰輝には恐怖心どころか、希望を持った眼差しで闇を見た。