reality ability‐第4話‐南の草原、wind grassland‐-5
「‥‥‥?‥‥っ!!お前って奴は!?」
凰輝は驚いた。理由は敵の背後から出てきた敵にだ。
「久しぶりだな。凰輝よ?」
「‥‥嘉神 羅紅(かがみ らこう)!!貴様!裏切りやがって!」
凰輝の感情は荒々しかった。珍しき事が天界ではかなり起こるようだ。さて、羅紅と呼ばれた敵だが、凰輝と似ている双剣を持っていた。
容姿は凰輝同様、二十歳後半の顔と言ったどころか。髪型は短髪。そして、騎士のような鎧を着ていた。
那奈夜同様の紋様、“禁断詠唱”の効果もあったので、髪や瞳の色は黒だった。
「‥‥十万年前の敗北、今勝利にしてやる!」
「そうか。‥‥なら、来い!お前を今ここでもう一度思い知らさせてやる!!」
羅紅は凰輝目掛けて突っ込んくる。一対一の勝負のようだ。
「くらえ!!」
〈ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!‥‥〉
羅紅は縦横無尽に双剣を振る!
「当たらん!」
見事に避ける凰輝。余裕だった。知人のようなので太刀筋が解るのだろう。この二人の過去は十万年前の出来事に関係があるようだ。
「解放せよ!我が力!紅き火の力よ!碧の風の力よ!我が体に力を!」
凰輝は本来の力を解放し始めた。しかし、失敗に終わった。
「ぐっふっ!」
「!!!」
辺りにいる弓を持っていた敵の複数が凰輝に矢を放ったのだ。羅紅は驚いている事から予想外のようだ。凰輝はその場に方膝を着く。
「くっ、貴様ら!一体、何の真似だ!?」
羅紅が怒鳴る。
「それは、我々には“カオス様”からの別の勅命があるからですよ?」
「!!??」
代表格のような者が前に出て言う。他の者とは違った雰囲気を漂わせていた。
「貴様は?」
「これは失礼。初めまして。“カオス様”の右腕の黒神 闇(くろがみ あん)と申します。以後、お見知りおきを。」
その者は“カオス”の部下と言う。が、
「知らんぞ!そんな者!?」
羅紅は存在を知らなかったらしい。
「当たり前です。いくら四天王でも隠された真実ですからね。」
冷ややかに言う。だが、その自信は確かなものなのだろう。剣を捨て暗器に持ちかえ、構えも独特になったからだ。
「くっ!‥‥逃げろ!凰輝!!」
羅紅は凰輝を庇うように前に立つ。