reality ability‐第4話‐南の草原、wind grassland‐-12
‐約三十万年前の天界‐
〈ドン!ドン!‥‥ドン!ドン!〉
夜、ある一軒家の玄関を叩く音。天界でも一軒家は普通だった。地界、‥人間界の物と変わらない二階建てだ。
〈ガチッ‥‥〉
「どなたですか?‥‥ふあぁぁ。」
凰輝が眠そうに玄関を開ける。そこには凰輝の身長より十センチぐらい低く、フードがあるローブを羽織った神が居た。
「‥‥久しぶりね、凰輝?」
「なっ!!‥しき‥むがっ!」
「しっ!‥‥静かにしなさい、凰輝。」
凰輝はびっくりして大声を出そうとするが、フードがあるローブを羽織った神に口を手で押さえられた。
「‥‥静かにね?いいわね?」
凰輝は首を縦に振る。すると、凰輝の口に当てていた手を放し、深いフードを捲った。そこから現れた顔は織音だった。
「ふぅ。‥‥入っていいわよね?」
「は、はい!」
凰輝は織音は居間に連れていく。織音はソファーに座り一息着いた。凰輝はとりあえず麦茶を出し、織音の反対側のソファーに座る。
「ごめんなさいね。驚いたでしょ?」
織音は笑う。
「え、ええ。罪神になったのでは?」
凰輝はまだ動揺していた。今、目の前にいるのは確かに織音だった。姿は変わらない。流石は神と言うべきか。
「一応はね。‥‥本当の目的は違うわ。とある事を知詠神と話し合った結果がこの出来事。」
織音は真剣な眼差しで凰輝に言った。
「そうだったんですか。‥‥では、集神城じゃないんですか?」
確かに普通なら集神城に行った方が良いと思うが、何故に織音は神城家に来たんだろうか?
「一つだけ心配事があるの。今、‥‥治安はどうなっているの?」
織音は凰輝を思いっきり睨んだ。
「そ、それは‥‥」
凰輝は返答に困っていた。目が泳いでいた。図星らしい。動揺を隠せてなかった。
「それは、今現在‥螺樹が知詠神に半分操られています。もちろん、表面的には隠されていますが。」
と、いつの間にか梛が居間の入り口に居て喋った。梛の姿も変化は無い。
「お久しぶりですね。織音様。」
「ええ。‥‥ごめんね?急に来て。」
「大丈夫です。私たちに出来る事があったら言ってください。ね、凰輝?」
梛は笑顔で言う。そして、凰輝の隣に座る。どうやら、もう夫婦の関係らしい。
「そうだな。我々に出来る事があったら、また来てください。」
凰輝も笑顔で織音を見つめる。