reality ability‐第4話‐南の草原、wind grassland‐-10
「‥‥仕方ないな。水よ。我が願いに応えてくれ。‥アクア・リカバリー。‥‥」
凰輝と羅紅の傷が一瞬にして治る。凄い回復力だ。
「‥凄いな。五行詠唱も尋常じゃない。」
凰輝は呼吸が整っていた。更に立ち上がった。
「‥‥では、あとは任せました。‥‥」
立ち去ろうとする謎の人物。だが、
「少し質問に答えてくれないか?」
やはりというか、当然凰輝が止めに入った。
「‥‥少しだけです。‥‥」
凰輝に背中を向けたまま、立ち止まった。
「ありがとう。‥‥早速だが、何故表に出てこないんだ?」
凰輝は謎の人物に歩こうとするが、結界によって妨げられた。
「なっ‥‥」
「‥‥そこに居てください。‥‥‥裏には裏の仕事があるので‥‥」
「‥‥そうか。」
謎の人物は振り返らない。凰輝は諦め、結界から少し離れる。どうしても、顔を見かったらしい。
「‥君はまだ‥“罪”に縛られているのか?」
謎の人物はビクッとする。どうやら、それは謎の人物の弱点なのかもしれない‥‥。
「‥‥これが“罰”です。許される事はないでしょう。では‥‥」
謎の人物は今度こそ立ち去ろうとする。が、
「最後に君は‥‥幸せか?」
凰輝のその言葉に謎の人物は答えなかった。‥‥口の片端が上がったような気がした。結局、振り返らずに立ち去った。
「‥‥‥」
「で、あれは誰だ?」
羅紅が目を急に開けた。どうやら、聞いていたらしい。
「‥敵ではないが、味方でもない。ただ、俺が思うに最強だろうな。」
凰輝は振り返り、笑顔で歩き出した。
「そうか。あんな“力”は相手にしたくないな!‥‥って、置いていくな!」
羅紅も付いていく。完全に寝返ったようだ。
「‥‥‥‥」
謎の人物は遠くにある木の後ろに隠れてた。何の為に?
「‥‥ねぇ。なんで行かないの?‥‥‥‥。黙るのは卑怯よ?‥‥」
謎の人物が独り言?している。
「‥‥済まない。いいわ。その内、話す。期待しているわ。ああ‥‥」