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cool garden
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cool garden-2

「…お姉ちゃん…?」
聞き覚えのある声。
1度だけ会った事があるリョウコの妹だった。
「リョウコ…。」
母親も一緒のようだ。
「お姉ちゃん!!起きてよ!!」
「…っ…」
「やだよ…冷たいよ…お姉ちゃん…っ」
冷たい…?
その言葉を聞いた瞬間、俺の体も凍り付いて冷たくなるような感じがした。
止まったまま宙に浮かんでいる手に、もう一度脳から腕を動かすようにと命令を送った。
リョウコの母親と目が合った。
彼女は俺に軽く会釈をした。俺も軽く首を下げて返す。
「…娘が…今までお世話になりました…。」
「………」
返す言葉が見つからない。
「…ユイ…行くよ…。」
リョウコの妹にそう声をかけ、肩を抱いて部屋を出た。
呼吸が速くなる。
顔を下に向けても、リョウコの表情を見ることはできなかった。
白い布が置かれていたから。
…嘘だろ…。
「リョウコ!!」
大声で名前を呼ぶ。肩を揺すりながら何度も呼ぶ。
返事はない。
俺は脱力感から崩れおち、膝をついて座り込む。
目の前のリョウコの左薬指にはめられた指輪を見つめた。
その手はすでに生気を失い白くなっていた。
俺は屋上に向かった。
誰もいなかった。都合がいい。

リョウコは死んだ。
リョウコはもういない。
どこにも…。

だったら俺は…
『あたしの前からいなくなって』
わかったよ。
テメェの願いを叶えてやるよ。


喜べよ。


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