光の風 〈地球篇〉-3
「入り口?」
「精霊への手がかりはカリオという、貴未の故郷にあるらしい。」
「カリオ?あいつ行けるんか!?」
「その入り口が地球にあると。」
衝撃の事実に聖と紅奈は思わず顔を見合わせた。帰りたくても今まで帰れなかったカリオ、それの入り口が地球にあるなんて今初めて知った事だった。
聖と紅奈、二人が初めてシードゥルサに来た時、貴未は既にここに馴染んでいた。人懐こい性格で誰よりも二人に話しかけてきたのは貴未だった。
「そういえば…うちらの故郷の話聞いた時、なんか反応違てたな。」
「今思えば、な。」
蘇る記憶を掘り起こしていくと貴未の態度のおかしさに気付いた。いつだったか、聖達の前にきて握手を求められたことがあった。その後、なんでもないといつものように振る舞って帰っていったが、その時の後ろ姿に違和感があったのを思い出す。きっとあの時、空間を飛べる力を扱えるようになり地球への軌跡を辿りたかったのだろう。しかし月日が経ち、聖達からはもう軌跡が消えてしまっていたのだ。
「日向が来たから行けるようになったんか。」
「オレもこの前、初めて聞かされた。」
聖の呟きにカルサが答えた。とりあえずはおめでとう、と言うべきなのだろうかとぼんやり考える中で1つの疑問符が生まれる。
「あのキーマン連れてきたんは…御剣のあの二人やったな?二人はどないして行き来したんや?」
そんなのは当然の疑問であった。今まで行けないとあれほど言っていたにも関わらず、何故二人はこうも簡単にやってのけたのか。聖には不思議で仕方なかった。
カルサは聖の目を見たままそらさずに、少し間をとってから答えた。
「御剣の力を使った、それだけだ。」
「なんや!?その力ていうのは!」
「聞いてどうする。」
思いがけないカルサの冷たい反応に聖は一瞬ひいてしまった。聖にしては感情的な態度、紅奈もサルスもカルサの反応より聖に驚いていた。
「オレらには知る権利がある。」
「ダメだ。」
「なんでや!?」
めずらしい聖の感情的な声が部屋中に響く。紅奈とサルスはただ黙って彼らのやりとりを見ているしかなかった。
「本来、御剣の事をそれ以外に知られてはいけない。御剣はそんな簡単な仕組みではない、複雑で汚いものばかりだ。これ以上、踏み込むな。」
「今更やろ!?」
聖が詰め寄り、カルサとの距離が縮まった。二人とも譲らない気持ちが外さない視線で分かる。もはや睨み合いに近かった。