投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

光の風の最初へ 光の風 155 光の風 157 光の風の最後へ

光の風 〈地球篇〉-14

「貴未さん、覚えていますか?」

圭はそれを手のひらに乗せたまま貴未に近づく。暗くてよく見えない、それが白いのが救いだった。

「白い球体?見覚えは…。」

「ここからです。」

圭の言葉を引き金に、球体は光を放った。淡く、それでいて強い光は球体の中身をさらすように透けていく。その姿を見た貴未の表情は変わった。

「貴未さん、覚えていますか?」

「これはオレ達の!?」

「カリオへの命綱です。」

貴未は圭の手の上の球体から目が離せなかった。あの時最後に見た時から失った大切なものの1つ。時を越えてもここに存在していた。

光り透けた球体の中は、からくり仕掛け。いくつもの歯車が不思議にも小さく回りながら動いている。

それも記憶のとおりだった。

「貴未さん、扉はここに。そしてマチェリラの魂もこの中にあります。」

「どういうことだ?」

「マチェリラの魂を受け継ぐとはそういうこと。」

この球体を受け継ぐことでマチェリラの魂も、扉さえも受け継ぐことになると圭は続けた。あまりの衝撃に貴未は言葉を失った。

「私たちは代々これを〈永〉と呼んでいます。」

その時、一瞬にして貴未の世界からは音が消え、一つの記憶が頭の中をこだました。その記憶の中で聞こえる声はただ一つ、貴未と呼ぶ少女の声。

「はるか…!?」

それは失った貴未の片翼、傍にいるべき存在だった。

「どういう事なんだ?訳が分からない、何でマチェリラはこんな事までして?それに永という名は…っ!?」

「マチェリラを呼びます。」

明らかに動揺している貴未を制するように圭は告げた。


光の風の最初へ 光の風 155 光の風 157 光の風の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前