光の風 〈地球篇〉-13
「隠し部屋です。仕掛けを外さないと道は開きません。」
貴未達の疑問を察してキースは説明をした。貴未達は納得したのか何度も頷いた。そして圭は立ち上がり目の前の壁が開いた。
「上に続く道があります。いきましょう、私に付いてきて下さい。」
貴未達は黙って頷いた。圭はキースに番を頼むと、二人を連れて階段を上っていった。
薄暗い道を3人は上っていく。
「日向、足元気を付けろよ?」
「大丈夫。」
二人のやりとりに微笑んだのは圭だった。
「貴未さんはお優しいんですね。」
「なんで?」
「日向さんは貴方よりも強い力をお持ちなのに。」
圭の言葉で貴未達に緊張が走った。日向はどうしていいか分からず、貴未の様子をうかがう。貴未の顔つきが変わっていた。それでも3人の足は止まらない。
「なんで?」
さっきより少し低めのトーンで言葉を放った。警戒しているのが分かる。
圭は日向の肩の上からいつのまにかいなくなっている動物を確認して答えた。
「だって貴未さんはカリオ人、日向さんは世界を統率する者ですから。」
貴未は衝撃を受けた。少し頭を動かして目の端で日向を捕らえようとする。日向にもそれは分かった。
世界を統率する者の意味がまだ分からない。
「どういう事ですか?」
圭は少し振り向き笑った。そして前を向き、声の調子を上げて言った。
「さぁ、もう付きます。」
少しだけの距離の階段を登りきると、屋上につながる扉を開けた。
「どうぞ。」
いつのまに時間がこんなにも経っていたのだろう。光り輝く月と満天の星空が3人を迎えてくれた。
「うわぁ…。」
思わず声が出た。口を開けたまま見とれてしまうほどの星空、まるで吸い込まれそうな感覚に陥る。そんな感動から我に返り、貴未は圭の方に意識をやった。
圭も同じように星を見ている。
「ここに扉が?」
貴未の声で一同の視線は展から逃れた。圭が頷く。
ここはどう見てもただの屋上だった。石で作られた古来からある造り、それ以上には思えない。貴未はただ圭を見て探っていた。
圭は首飾りを服の中から取り出す。それは球体のようだった。白く丸い何の変哲もない物、しかしこれが服の中にあったとは考えにくい大きさだった。少女の手のひらに余るくらいの。