恋愛模様〜ラブペイン〜-1
ね、あなたはもう新しい空を飛んでるの?
大空を羽ばたく生き物になぞらえるなら、君はスワン、僕はクロー。
COLORで例えるなら僕はブラック、君はホワイトだね。
あなたは、微笑みながら素敵な偶然を私に教えてくれた。
「わ・・・・!本当だ。私たちにそんな共通点があるなんて。嬉しい・・・。」
本当に嬉しくて、私は初めて出会ってから閉ざし続けていた想いの小箱を、思わず開けてしまったの。
だから、私の顔には書いてあったはず。
“ANATAGASUKI”
秘め続けていたこの言葉が。
「・・・・僕も嬉しいよ。」
静かに、そう告げるあなた。
ドキン、私の心臓は踊りだす。怖くなって思わず、あなたから視線を外してしまった。
あなたは今どんな表情をしているか、知りたい。今、何を考えているの・・・?ううん、今だけじゃなくって・・・。
ずっとずっと前から私の事、どう想っているのか知りたかったのよ。
でも、真実を知る勇気が無い弱虫な私。
今もそう。怖くて、怖くて、逃げ出してしまいたい。
「ひとつ僕から、提案があるんだ。」
「!!提案・・・?ど、どんな・・・提案?」
恐怖心など忘れて、あなたの顔を見上げた私は・・・・私は・・・。
「君と僕の関係を友達以上にしたいんだ。そうすれば、僕はもっと嬉しいんだけれど。」
その言葉。そして私を見つめる、あなたの瞳。なんて、優しい眼差しをしているの。
「わ・・・、私もその提案に賛成です。私も、すごく嬉しい。」
これが、あなたと私が初めて付き合った日の出来事。
今も私の宝物。それから・・・、初めて手を繋いだ日。あなたが別れ際にした不意打ちの、キス。
私の“初めて”をあなたに捧げたあの日。
あなたと一緒に過ごして、触れ合った日々は全部私の宝物。毎日楽しかった。
一生、一番の宝物にしたかった。
けれど、私は逃げてしまった。
あなたを独占する事に疲れた……。
信じる事を忘れ、弱い自分と向き合えずに逃げ出してしまった―――あなたから。
裏切りだけを残して。
大空を羽ばたく生き物になぞらえるなら、君は白鳥<ハクチョウ>、僕は烏<カラス>。
「君の名は、真白の美しい鳥の名だね。僕も鳥の名を持つけれど、真っ黒い翼と鋭い嘴<クチバシ>を持つ鳥だ。・・白い羽を持つ君を、僕の黒い嘴で傷つけないようにしないと。」
冗談っぽく、舌を出した後で。
私をしっかり抱き締めて、
「・・・佳蓮、君を大切にする。」
そう囁いてくれたあなた。
けれど、鋭い嘴を持っていたのは私の方だったわ。
私があなたの真白の心を傷つけてしまった。
別れてから、時間が経って―――――――。
私はあの場所から動けないでいるの。
あなたとの想い出の沼から飛び立てずに居る。
ねぇ、あなたにもう一度会いたいと思う私は、自分勝手?
もうあの頃の綺麗な私じゃない。
でも、逢いたい…まだ、好きなの。
あなたが…五良ちゃんが好きなの。
ピ・ピ・ピ・と、携帯のメール送信ボタンを押す。
メールの宛先には、
烏丸 五良
彼の名前が入力されている。
私の想いは、今から電波に乗ってあなたの元へ飛んでいきます。
私はここから再び、新しい空に向かって飛び立てる?
そして、あなたの元へ…………
けれど、
……―――あなたが、新しい恋を手に入れたと知るのは、もう少し後の話。
Tobecontinued〜ラブリーズン〜