『ゲームメイカー』-21
「違うの?だって啓介さん……あたしの躰が忘れられないって……」
「いい加減、気付けよな?ただの照れ隠しだ。大体、躰(それ)だけの奴に鍵なんて渡さないぜ?俺は……」
今更気付いたように彼女は驚いた顔をする。そんな翠に構わず乳首に舌を這わせて俺は言葉を続けた。
「そうだな……どうしてもって言うなら、もっと感じてくれ。それだけでいい……」
柄にもなく、クサイ台詞を言っちまった。そんな俺の頭を抱えるように翠の手が回されて、うわ言のように喘ぎ続ける。
「ん……もっと……啓介さんが好きなだけ…して……ああ……気持ち…いい…」
口の中で飴玉を転がすみたいに舌先で乳首を刺激すると、徐々に彼女の喘ぎ声は大きくなっていった。
「服……脱がすぜ?」
頬を染めたまま翠は小さく頷く。首をくぐらせて上着を脱がすと、彼女の長い黒髪がシーツの上にサラサラと拡がった。反射的に両腕で胸を隠す彼女の手首をそっと掴み、ゆっくりと開いていく……
されるがままに抵抗などなかったが翠は顔を背けていた。小さな顔、細い首筋、華奢な肩、浮き出た鎖骨、そして豊かな胸の膨らみ……
「すげぇな……やっぱり……」
そんな言葉が自然に口からこぼれた。
「な、何が?…」
横を向いたまま、彼女は聞いてくる。俺は答えずに両手の指を脇腹に這わせ、スススッと滑らせていった。
「っ!……」
脇腹からの刺激に翠は躰を反らす。その隙にスウェットの腰に手を掛けて、一気に膝下まで引きずり下ろした。太股から、ふくらはぎを撫で摩(さす)るようにして裾から足首を抜いていく。俺の目の前に、パンティー一枚だけの翠の裸体がある……
ほどよく肉の付いた太股、ふくらはぎからキュッと締まった足首。こうして全身を見ても、その均整の取れたプロポーションに思わず溜め息が出てしまった。
「は、恥ずかしいわ……そんなに見つめないで……」
「何言ってんだよ。誘ったのは、そっちだろ?今更……」
さわさわと太股の内側を指先で摩りながら、俺は言う。
「違うの……」
「え?」
「するのと、されるのとじゃ全然違う……それに……なんか…あの…」
相変わらず顔を背けたまま、横目でこっちを見ると彼女は更に顔を紅潮させた。
「目で………犯されてる……みたい……」
ゾクゾクゾクッ!
自然に口をついて出たのか、意図的なのか……どっちにしろ頬を赤らめ、恥じらうような仕草で言う翠に、俺は性欲を掻き立てられた。と、同時に彼女に任せたら、どんな風にしてくれるのか興味が湧いてくる。
責められる?俺が?
俺は再び躰を入れ換え、ベッドに仰向けになると翠に言った。