『ゲームメイカー』-12
「なんだ?具合でも悪いのか?」
「シャワーを浴びて来ていいですか?……啓介さんのが……溢れてきちゃって……」
消え入りそうな声で彼女は呟いた。聞いてる俺まで照れてくる。中出しなんて久々だから、ついうっかりしていた。
「す、すまん……鈍くて」
クスッと小さく笑い声がして、バツが悪くて背を向けている俺の後ろで人の動く気配がした。小さな足音がバスルームに消えて、やがて微かにシャワーの音が聞こえて来る。
なんとも言えない気分のままに悶々としていると、バスルームから翠が出てきた。そして再びシーツが捲くられる気配の後、背を向ける俺の背中に水気を含んだ素肌が押し当てられる。
「啓介さん、こっち向いて……」
翠に言われて振り向いたものの、やはり言葉は出なかった。
「やっぱり啓介さんっていい人ね……気にしないで……」
そう言ってもう一度寄り添うとペ○スをそっと握ってくる。
「さっきは、あんなに凄かったのに今はちっちゃくなってて可愛い」
指で弄びながら、そんな事を彼女は言った。
「おいおい……まさか、まだ物足りないって言うんじゃないだろうな?」
「そう言う意味じゃないけど……でも、啓介さんが望むならあたし……」
そこで翠は言葉を区切った。あくまで主導権は俺に預ける訳か……
無理強いせず、男のペースに合わせる。男を疲れさせない女。
たまんねぇな……
「ううん、何でもないの……啓介さん、付き合わせちゃってごめんなさい、とっても嬉しかった…少し眠って……ね?」
翠は手を胸板へ這わせると、更にぴったりと寄り添う……横を向くと彼女の微笑む顔があった。
仕事の疲れ、日常の鬱屈(うっくつ)が溶けるように癒されていく……
嘘だろ?さっき会ったばかりだぜ?なのに何故こんなに惹かれるんだ?
違う!違う!驚く事ばかりで戸惑ってるだけだ!
そんな俺を見て、考え込んでいるとでも思ったのか、ふいに彼女が尋ねてきた。
「啓介さん、どうしたの?」
「い、いや……何でもない。悪い、少し眠っていいかな?」
そうさ、眠っちまえば平気さ…朝になれば……
妙な緊張感も、やがて躰を包む疲れが心地良いまどろみへと変えてゆき、俺は眠りの中へ落ちていった。
「…ん……介さん?」
暗がりの中から自分の名前を呼ぶ声が響き、重たい瞼を持ち上げると翠の笑顔が飛込んできた。と同時に鼻孔をくすぐる芳ばしい香りが漂ってくる。