傷跡-7
4年後、私は日本に帰ってきた。
カウンセラーとして。
世の中には多くの問題が溢れてる。一歩、間違えたら命に関わることまで。私が受けた傷もきっと一生消えることはない。その中で私にできることは何か…。毎日が戦いだ。
昼休みに、兄の仕事場に顔を出す。
「お兄ちゃん、最近、家に帰ってないでしょ?お母さん心配してたよ。」
兄は警察官になって、駐在所で働いてる。
「でも、お兄ちゃんも駐在所じゃなくて、捜査本部とかの方がかっこいいのに…。」
「俺はな、事件が起きてから捜査するんじゃなくて、事件が起きないようにしたいんだ。」
兄は得意気に言う。
涙が出る。そうだね…、もう絶対に私のような被害者を出しちゃいけない。絶対に…!
仕事が終わって家に帰る。伊藤の表札。
「ねぇ、何にする?」
「何が?」
伊藤くんは夕飯を食べながら、キョトンとした顔をしてる。
「子供の名前…。」
「……!!」
私達の人生はまだ始まったばかりだ。
終わり